本研究では、プレートの沈み込みに伴い地球深部へ水を運搬する役割を担う含水鉱物である蛇紋岩鉱物の地球内部条件に対応した高圧力下における構造や弾性特性について、量子力学の基本原理に基づく第一原理電子状態計算法を用いたコンピューターシミュレーションによって決定することにより、プレート内部におけるこれら含水鉱物の存在状態を調べた。蛇紋石の低温多型であるリザーダイトにおいては、高圧下において水素結合が失われることにより弾性異常が起こることを報告した。また沈み込む東北日本や西南日本のプレート中で観測される地震波異方性が蛇紋石高温多型であるアンチゴライトの結晶選択配向によりよく説明できることを明らかにした。
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