研究課題
始原的コンドライト隕石の鉱物学的研究・分光学的研究と小惑星イトカワ試料の鉱物学的研究により、以下の通り小惑星の形成過程、特に母天体での変成作用について考察を行った。(1)隕石試料の中でも最も始原的な隕石種である、CRコンドライト隕石について系統的な分析を行った。本研究において数多くのCR隕石について系統的研究を行った結果、全てのCR隕石の熱変成の度合いは極めて低いが、異なる程度の水質変成を受けていることが分かった。また、ラマン分析で有機物の始原性について検証したところ、ショックを受けている隕石は鉱物学的な熱変成の痕跡は殆ど残されていないが、炭素質物質のグラファイト化が進んでいることが明らかになった。(2)小惑星イトカワ試料について、RA-QB02-0127粒子についての鉱物学的研究を行った。RA-QB02-0127は、細粒の鉱物(olivine、low-Ca pyroxene、plagioclase)が集まった組織としている。粒子中に含まれるかんらん石について放射光分析を行い、得られた格子定数より化学組成を算出したところ、Fo70程度の化学組成を持つことが分かった。LLコンドライト隕石組成と比較を行い、岩石学タイプはLL4に近く、これまでのイトカワ粒子の中でも熱変成の度合いが低い粒子であることが明らかになった。これらの結果・考察について、日本惑星科学会、極域科学シンポジウム、隕石学会、46th Lunar and Planetary Science Conferenceにて研究発表を行った。また、昨年度までの研究について取り纏め、Meteoritics and Planetary Science誌に発表した(Komatsu M. et al., 2015, Meteoritics & Planetary Science, 50. pp. 1271-1294)。
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Meteoritics & Planetary Science
巻: 50 ページ: 1271-1294
10.1111/maps.12460