研究課題
原産地(千葉県南房総市)の千葉石に伴って産出した未記載のクラスラシル鉱物について、化学組成や結晶構造などのデータを揃えて、国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会に申請し、新鉱物「房総石(bosoite)」として承認された(申請番号 IMA 2014-023)。房総石の理想化学組成はSiO2・nCxH2x+2と書くことができ、SiO2骨格が作るケージ状の空隙中にメタンやエタンなどの天然ガス分子を包有した結晶構造を持つ。小さなケージ2種類にはそれぞれメタンが、大きなケージには炭素数12前後の大きな分子ないし複数分子が含まれる。房総石は3種類の天然クラスラシル鉱物(メラノフロジャイト、千葉石、房総石)の中で最もサイズの大きなケージを持ち、より分子量の大きな天然ガス分子の存在下で形成されると考えられる。千葉石の単結晶構造解析では、原産地試料と長野県産試料で常温での対称性に違いがあることが判明した。原産地試料の大半は正方晶系であるが、長野県産試料は立方晶系であり、対称性低下の証拠は確認されなかった。また、原産地試料では正方晶系と立方晶系との相転移温度が室温付近にあることなどが明らかになった。千葉石と房総石の実際のSiO2骨格は何れも、結晶構造解析により決定した平均構造よりも歪んでおり、平均構造は、局所歪みの平均を観察している結果であることが示唆された。これらの研究成果について、ヨハネスブルクで行われた国際鉱物学連合の第21回総会、熊本で開催された日本鉱物科学会2014年年会などで報告を行った。
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