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2012 年度 実施状況報告書

プレソーラー粒子の超高感度分析による先太陽系史の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24740361
研究種目

若手研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

江端 新吾  北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (10578371)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードプレソーラー粒子 / 宇宙化学 / 先太陽系史 / スパッタ二次中性子質量分析 / イメージング / プログラミング / 年代測定
研究概要

イメージングプログラムの開発においてはPXIシステムとLabVIEWプログラミングにより,高速スキャンが可能となり,サンプルへのダメージを最小限にすることが可能となった.またプログラムにより深さ方向分析が可能となり市販の二次イオン質量分析計と遜色ないプログラムを作成できた.
12極子の電極が8段にも積み重なるイオンビーム収差補正装置を巧みに操ることは困難であったが,電圧値の最適化により,10nmの空間分解能を達成することができた.本研究のターゲットとなるプレソーラー粒子は<100nmであり,その分析には十分な空間分解能を実現することが可能となった.また,イオンゲートの電圧を最適化することにより,質量分解能を600,000以上に設定することが可能となり,その際のイオン強度は多重周回させても落ちないことを確認した.これにより,妨害イオンの除去が容易となった.その他,LIMASには50を超える質量分析計のパラメータとオートでは制御できないレーザー照射系のパラメータがあったが,理論計算と多数の実験によって各パラメータの性質を理解することができ,想定通りのスペクトルを得ることができるようになった.
バックグラウンドPbの定量的な調査はPbが非常に少ないことと,その起源が特定できないことが困難となり,精密に評価はできていない.それに先立ってU-Pb年代測定用プログラムの開発を行ない,現在ルーチンで点分析が可能となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度提出した研究実施計画においては,平成24年度実施計画として①イメージングプログラムの開発およびその評価,②妨害イオンの除去,バックグラウンドの調査,③LIMASパラメータの最適化の3点であり,平成25年度においては④U-Pb年代測定用プログラムの開発,⑤高空間分解能イメージングによるプレソーラー粒子の探索,⑥プレソーラー粒子のU-Pb絶対年代測定の3点で合わせて6項目であった.
①,③は完了し,②と④の達成率は各々,70%,50%であったので,順序は少し変わっているが,おおむね順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

バックグラウンドの正確な定量のためには,Pbの起源の特定が必要である.現在LIMASにおける定量分析は非常に困難を極めており1%程度の誤差で見積ことしかできない.これは質量分析部のイオン収率が非常に低いことが原因である.ここを改善するべく質量分析部の改良を行う.質量分析部は先端に直径2mmの穴がありそこから引き込まれたイオンが2段加速によって時間的・空間的収束されれうように設計されているが,その位置,径の大きさなど最適化は行われていない.本助成金を用いてイオン軌道シミュレーションソフトを購入し,計算を行なった上で最適な形状を模索し,2~3点試作品を作成する.これにより質量分析部のパラメータの最適化を再度行い,定量分析の可能性を探る.
以上が完成すれば,U-Pb年代測定も可能となり,高空間分解能イメージングによるプレソーラー粒子の探索とその絶対年代測定が可能となる.本研究課題成功のためには上記をクリアすることが必須であためまずは全力をあげて取り組むべき課題と言える.

次年度の研究費の使用計画

最適な質量分析部の設計を行うため,イオン軌道シミュレーションソフト(200千円),質量分析部の試作(100千円x2-3回),その他試料室内の改良経費(200千円)に研究費を使用する.その他,LabVIEWソフトウェアの更新(100千円)などに使用する.
本助成金であげられた成果は世界的にも類を見ない大きな成果となることは間違いなく,研究成果は直ちに発表するべきである.最低国内2回(100千円x2),海外2回(200千円x2)の計600千円を旅費として使用する.
平成24年度においては未使用額が発生したが,JASMSのオフプリント代として引き落とされる予定が手続き上の問題で引き落としがなかった.平成25年度発表予定の論文のオフプリント代として使用予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Development of an Ultra-High Performance Multi-Turn TOF-SIMS/SNMS System “MULTUM-SIMS/SNMS”2013

    • 著者名/発表者名
      Shingo Ebata*, Morio Ishihara, Kousuke Kumondai, Ryo Mibuka, Kiichiro Uchino, Hisayoshi Yurimoto
    • 雑誌名

      Journal of The American Society for Mass Spectrometry

      巻: Volume 24, Issue 2 ページ: 222-229

    • DOI

      10.1007/s13361-012-0528-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 「超高感度極微量質量分析システム"LIMAS"の開発と今後の展望」2012

    • 著者名/発表者名
      江端新吾
    • 学会等名
      鉱物科学若手の会(YMO)ショートコース
    • 発表場所
      京都大学(京都)
    • 年月日
      20120918-20120918
    • 招待講演
  • [学会発表] Development of high-speed data-streaming system for time-of-flight mass spectrometry2012

    • 著者名/発表者名
      Bajo, K., Fujioka, O., Ebata, S., Ishihara, M., Uchino, K., Yurimoto, H.
    • 学会等名
      19th International Mass Spectrometry Conference
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      20120915-20120921
  • [学会発表] 超高感度極微量質量分析システムを用いた希ガス同位体分析(II)2012

    • 著者名/発表者名
      馬上謙一, 江端新吾, 藤岡修, 坂口勲, 内野喜一郎, 石原盛男, 糸瀬悟, 松谷幸, 工藤政都, 圦本尚義
    • 学会等名
      2012年度日本地球化学会年会
    • 発表場所
      九州大学(福岡)
    • 年月日
      20120911-20120913
  • [学会発表] LIMAS装置の活用・普及促進2012

    • 著者名/発表者名
      江端新吾
    • 学会等名
      「先端計測分析技術・機器開発プログラム」開発成果の活用・普及促進
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      20120906-20120906
    • 招待講演
  • [学会発表] Developement of high-speed data streaming system for time-of-flight mass spectrometry.2012

    • 著者名/発表者名
      Bajo, K., Fujioka, O, Ebata, S., Ishihara, M., Uchino, K. and Yurimoto, H.
    • 学会等名
      International Symposium on SIMS and Related Techniques based on Ion-Solid Interactions at Sekei University (SISS-14)
    • 発表場所
      成蹊大学(東京)
    • 年月日
      20120531-20120601
  • [学会発表] 高速デジタイザを用いた飛行時間型質量分析のイオンカウンティング法2012

    • 著者名/発表者名
      馬上 謙一, 藤岡修, 江端新吾, 石原盛男, 内野喜一郎, 圦本尚義
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2012
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      20120520-20120525
  • [学会発表] TOF-SIMSのための高速イオンカウンティングシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      馬上謙一,藤岡修,江端新吾,石原盛男,内野喜一郎,圦本尚義
    • 学会等名
      マイクロビームアナリシス第141委員会 第148回研究会
    • 発表場所
      成蹊大学(東京)
    • 年月日
      20120509-20120510
  • [備考] Shingo Ebata's Home Page

    • URL

      http://vigarano.ep.sci.hokudai.ac.jp/ebashin/

  • [備考] 北大3G(地球化学研究室)

    • URL

      http://vigarano.ep.sci.hokudai.ac.jp/

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公開日: 2014-07-24  

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