研究課題/領域番号 |
24740361
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
江端 新吾 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (10578371)
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キーワード | プレソーラー粒子 / 宇宙化学 / 先太陽系史 / スパッタ二次中性子質量分析 / イメージング / プログラミング / 年代測定 |
研究概要 |
LIMASを用いて質量分解能を向上させる技術およびベーキング,レーザーイオン化の特性を解析した結果,U-Pb年代測定を行う為に必要な妨害イオンの除去法が確立できた.昨年度開発したプログラムを年代測定用に改良しつつあり,プロトタイプは完成した.実用のためには実際の分析を進めながら行う必要があり,そのフィードバックから完成させることとなる.一方で,新しいプレソーラー粒子の候補を発見し,LIMASを用いて分析する粒子としてリストアップした.LIMASで分析するためには1次イオンのビーム径が10nm以下である必要があるので,収差補正装置を用いた実験を試みた.これまで理論的に得られるビーム径に近づくことができず,最適パラメーターの調整を行ってきたが,今年度の実験により理論値と実測値がほぼ同じとなるよう最適化に成功した.最も小さいビーム径として8nm(ビーム条件Acc:20kV,3pA)が得られ,当初目的とした10nm以下の空間分解能でのイメージングが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画では,①イメージングプログラムの開発およびその評価,②妨害イオンの除去,バックグラウンドの調査,③LIMASパラメータの最適化,④U-Pb年代測定用プログラムの開発,⑤高空間分解能イメージングによるプレソーラー粒子の探索,⑥プレソーラー粒子のU-Pb絶対年代測定を行うこととしている.①,③は平成24年度に完了し,②,④は完了していないが,達成率はそれぞれ70%および50%であった.今年度は②が完了し,④の達成率は70%,⑤の達成率は50%,⑥の達成率は20%であり,当初2年計画で完了する予定を1年延長し,引き続き研究を行うこととした.計画が遅れた最大の理由は,LIMASという装置が不安定であるため年に数回のメンテナンスが必要であることであった.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度実施予定であった,④U-Pb年代測定用プログラムの開発,⑤高空間分解能イメージングによるプレソーラー粒子の探索,⑥プレソーラー粒子のU-Pb絶対年代測定についての達成度はそれぞれ,70,50,20%であった.計画が遅れた最大の理由は,LIMASという装置が不安定であるため年に数回のメンテナンスが必要であることであった.このことについては,装置が独自の開発装置であるため,メンテナンスに莫大な費用と時間がかかるので仕方ないことではあるが,残りの計画については限られた時間の中で最大限実施する予定である.まず,プログラムの開発については実際に用意できる疑似サンプルを用いて進めていく.それを行いつつ,今年度完成した収差補正装置を用いた高空間分解能イメージング法により,隕石中のプレソーラー粒子の探索を行っていく.さらに,今年度発見したU-Pb絶対年代測定に応用していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究開発にエフォートのほぼ全てを投入したため,研究成果の発表,特に海外発表について行うことができなかった.これは開発が常に計画通りいかないこともあるが,当初の計画において装置の不安定性について検討を入れなかった見積の甘さがあった.次年度にはその成果発表をなんらかの形で行うために使用額を繰り越し対応することとした. 研究成果を広く周知するために海外研究発表および国内学会発表を行う.海外研究発表として30万円,国内学会発表として10万円x2回,国内打ち合わせで16万円という形で計画している.
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