研究概要 |
本研究では二酸化硫黄吸収断面積計測変化をもたらす圧力の効果を調べることによって古大気の温度と圧力の鉛直プロファイルを推定する。このため、SO2の光解離反応で生じる同位体分別とその同位体異常(MIF)を決定し、さらに温度と希釈ガスが同位体効果にどのような影響を与えるか調査を行うことが本研究の根本的な目的である。25年度は高精度の32,33,34,36SO2の紫外線吸収断面積の測定に成功し、さらに自己遮蔽効果を調べるためにSO2を希釈ガスとして測定をした際の圧力効果も調べた。この実験データを論文でまとめて現在投稿中である。 計測データと比較するため、また計測の分解能限界を超えるスペクトルを得るために理論計算による高分解能スペクトルの計算が可能となるコードを開発し二原子分子システム(32,33,34&36SO)の紫外線吸収スペクトルを求めた。このような方法による圧力と温度の効果を考慮したスペクトルを計算できるようにした。計算方法と得られたSOスペクトルを論文の形で公表した。 得られたデータにより、光解離反応におけるMIF、自己遮蔽によって生じるMIFの区別、および地質記録に残った情報を再現するために重要である古大気モデルを調べるための元データを収集した。現在、これに基づいた古大気モデルを構築中である。
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