本研究では、N2O循環解析の強力な指標である同位体分子種(アイソトポマー)を用いることで、これまでの濃度情報のみではその識別が難しかった「硝化」と「脱窒」の両プロセスによるN2O生成を陽に扱った海洋生態系モデルを構築し、西部北太平洋の亜寒帯と亜熱帯の定点(K2とS1)に適用した。モデルは、観測されたN2O濃度や窒素同位体比、同位体分子種比の季節変化を再現でき、年平均N2O放出量は、K2が32.3mgN/m2/yr、S1が2.7mgN/m2/yr、と見積もられた。また感度実験の結果、K2では主に硝化によって、S1では硝化とともに硝化菌脱窒によってN2Oが生成されていることが示唆された。
|