研究課題/領域番号 |
24740368
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
三瓶 明希夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (90379066)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 核燃焼プラズマ / 画像計測 |
研究概要 |
A=2の低アスペクト比RFP装置において,二方向から軟X線(SXR)画像が同時撮像できる機構を構築し,同時撮像実験に成功した.撮像されたSXR画像は放電条件によってSXR源がトーラス対称やヘリカル構造を形成することを示唆し,周辺磁場揺動と良い一致を示した.得られたSX画像のうち,垂直方向の信号を用いて,Cormack-Bessel法による剛体Computed Tomography(CT)を行い,周辺磁場揺動が単一モードの成長を示すRFP放電において,SXR源のポロイダル断面像を得る事に成功した.ここから,m=1テアリングモード起因の大きな磁気島構造が形成されていることを明らかにした. また,画像計測の結果や周辺計測結果を拘束条件として,平衡再構成を行った.これと磁力線追跡コードORBITを用いて,磁力線追跡を行った.その結果,周辺磁場揺動が単一モードの成長を示すRFP放電は,ヘリカル様の三次元構造が実現していることが明らかになった.この結果を拘束条件に用いて,二方向のSXR画像から内部分布の再構成を試み初期結果を得たが,妥当性の評価には至っていない. 開発したシステムによって撮像されたSXR画像に生じる構造と,複数の磁場揺動モードの挙動と相関に注目し,トーラス対称構造からヘリカル構造への遷移現象に対して解析を行った結果,「複数のm=1モードによる位相ロックの解除とヘリカル構造への遷移とは同時に起こる.」「ダイナモによる磁束の増加は位相ロックが起こる場所で局所的に生じる傾向がある.」「ヘリカル構造への遷移時には磁束の増加が抑制され,磁束の局所的な生成と再配分が観測される.」ことが明らかとなった.従来の研究では,グローバルなヘリカル構造への遷移現象において単一モードの成長ばかりが重要視されていたが,ローカルな複数モードの相関に依存性があることが明らかになったのは重要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までに,当初計画にあった「二方向からのSXR撮像システムの構築と実験」「ヘリカルRFPにおける平衡再構成と磁力線追跡」「CTを用いた,SXR画像信号からの内部再構成(妥当性の評価は次年度の計画)」は達成できた. 上記に加え,トーラス対称構造から三次元ヘリカル構造への遷移現象に対しての物理的な検討を行った.その結果,「研究実績の概要」に前述の通り,単一モードの成長だけでなく複数モードの相関も重要であることを明らかにできたため,計画以上に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
SXRに感度のあるAXUVフォトダイオードアレイによる計測を行い,SX画像からの再構成結果の妥当性の評価と高精度化を行う.そのため,AXUVアレイとアンプ・回路系からなる計測システムを作成する. 新しく制作した計測系を低アスペクト比RFP装置に設置することにより,視線の交点を増やす.アレイ二方向の信号からのCTによる断面再構成断面再構成結果と,SX画像からの再構成を比較することで,再構成結果の妥当性の評価と高精度化を行う. 開発した解析方法を用いて,周辺磁場揺動と各種平衡量とから磁気面構造の検討を行う.時間発展を計測し,RE LAXにおけるヘリカル構造への遷移現象を前述の計測技術で細密に検討する.閉じ込め改善や粒子軌道・輸送現象等について,放電条件をパラメータとして実験・検討を行う.適宜計測系の改良を行いつつ更なるデータの拡充を行い,データ解析を終わらせる.その結果から理論モデルの構築及び従来のプラズマ物理との摺り合わせを行う.それと共に,得られた実験結果から本研究を総括し,他の閉じ込め配位における磁場構造の遷移現象との比較を行うことで,ヘリカル配位高βプラズマにおける遷移現象の普遍的特性の抽出を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品として,主にSX計測を行うためのAXUVアレイ関連部品を購入する.AXUVアレイ(AXUV20ELM)及びそれらのマウントの為の真空部品を購入する.また,SX信号アンプ等の弱電部品や,SX波長選別の為の薄膜フィルターを購入する. 旅費として,国内学会発表(年二回),APS(米国)およびRFP workshop(イタリア)での国外発表(年二回)を予定している.
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