研究課題/領域番号 |
24740368
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
三瓶 明希夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 講師 (90379066)
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キーワード | 核燃焼プラズマ / 画像計測 |
研究概要 |
前年度までに,A=2の低アスペクト比RFP装置において,軟X線(SXR)画像を高速で二方向から同時撮像できる機構を構築し,撮像実験に成功した.撮像された結果から,平衡再構成と磁力線追跡及びCT技術を用いて内部構造の再構成を行い,周辺磁場揺動が単一モードの成長を示すRFP放電において,ヘリカル様の三次元構造が実現していることを示唆する初期結果を得た.また,SXR画像に生じる構造と,複数の磁場揺動モードの挙動と相関に注目し,遷移現象に対しての物理的な検討を行った結果,単一モードの成長だけでなく複数モードの相関も重要であることを明らかにした. 今年度は,SXRに感度のあるAXUVフォトダイオードアレイとアンプ・回路系からなる計測システムを作成し,アレイ二方向の信号からのCTによる断面再構成結果と,SX画像からの再構成結果を比較することで,再構成結果の妥当性の評価と高精度化を行った.その結果,AXUVアレイからの信号とSX画像からの再構成結果は良い一致を示し,周辺磁場揺動が単一モードの成長を示すRFP放電においては,m=1テアリングモード起因の大きな磁気島構造が形成されていることを結論づけることができた. また,閉じ込め改善や輸送現象について調べる為に,従来の画像計測システムに改良を加え,吸収法と組み合わせる事で,新たに二次元電子温度分布計測システムを開発した.このシステムを用いて,二次元電子温度画像を撮像することに成功した.その結果,周辺磁場揺動が単一モードの成長を示す放電では,やはり高温部がヘリカル変形していることが判明した. 二次元画像から三次元的なSXR源構造及び熱的構造を明らかにできる様になったのは重要な成果であると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,当初計画にあった「二方向からのSXR撮像システムの構築と実験」,「ヘリカルRFPにおける平衡再構成と磁力線追跡」,「CT を用いた,SXR画像信号からの内部再構成」「AXUVアレイを用いたSXR計測システムからの断面再構成と,SXR画像からの三次元再構成を比較することによる再構成結果の妥当性の評価と高精度化」は達成できた. 当初計画にあった,外部摂動コイルを用いた三次元平衡に対する摂動磁場の効果や,摂動磁場に対する遷移現象の依存性を細密に調べるまでには至っていない. しかし,「トーラス対称構造から三次元ヘリカル構造への遷移現象において,単一モードの成長だけでなく複数モードの相関も重要であることを明らかにした」ことと「二次元電子温度分布計測システムを新たに開発し,熱的構造をも明らかにできる様になった」点は計画以上に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
開発した技法を用いて,ヘリカル構造への遷移現象を細密に検討する.同時に外部摂動コイルによる,三次元平衡に対する摂動磁場の効果や,摂動磁場に対する遷移現象の依存性を細密に調べる. 適宜計測系の改良を行いつつ更なるデータの拡充を行い,データ解析を終わらせる.その結果から理論モデルの構築及び従来のプラズマ物理との摺り合わせを行う.それと共に,得られた実験結果から本研究を総括し,他の閉じ込め配位における磁場構造の遷移現象との比較を行うことで,ヘリカル配位高βプラズマにおける遷移現象の普遍的特性の抽出を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
2円という残額はほぼ計画通りと考える, 消耗品として,主にSX計測の改良と精度向上を行うための弱電部品及びや真空部品を購入する. 旅費として,国内学会発表(年二回),APS(米国)での国外発表(年一回)を予定している.
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