本研究では外部パルス信号印加により、プラズマ中微粒子をデジタル的に精密輸送する革新的技術を開発する。具体的には、孤立波への帯電微粒子のトラップを実現し、孤立波励起数によりデジタル的に微粒子の輸送距離を制御する。今回、シース電界をパルス的に変化させることにより、プラズマ中帯電微粒子群の輸送制御に成功した。シース電界の制御は、RF電極に13.56 MHzと27 MHzの周波数のRF高周波電圧を重畳して印加し、その2周波間の位相を制御することで行った。位相差をパルス的に変化させることにより、パルス的にシース電界強度を変化させた。位相差変化量を増大させるに従い、帯電微粒子のプラズマ中移動距離は増大し、パルス電界による微粒子輸送制御に成功した。この手法により、帯電微粒子群を、10 mm以上離れた下部シース領域から上部領域シース領域へと大きく輸送することに成功した。この結果は、パルス電界によるプラズマ中帯電微粒子群の基板輸送の可能性を示唆しており、微粒子膜堆積プロセスに応用可能と考えられる。また、実際にナノ粒子をプラズマ中で生成・輸送し、ナノ粒子膜の堆積を行った。
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