本研究は有機薄膜太陽電池の動作原理を明らかにし,高効率化に向けて新材料分子の設計指針を具体的に得ることを目的とした.特に,電子ドナー分子と電子アクセプター分子の複合系に対して電子状態計算および反応動力学計算を用いて,創電に重要と考えられている分子界面における電荷移動反応を重点的に研究した.その結果,高い短絡電流密度および高い効率を示す有機薄膜太陽電池では光吸収と同時に電荷がアクセプター分子に移動し得ることがわかった.これはドナーとアクセプターの両者に非占有軌道が非局在化しているために生じる界面電荷移動型光励起が本質であり,付随する光誘起双極子が短絡電流を高密度化する指針であると示した.
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