無極性分子への陽電子吸着機構を明らかにするため、量子モンテカルロ法に基づく高精度非調和振動状態理論の開発実装を行い、無極性分子であるニ硫化炭素分子(CS2)および極性分子であるシアン化水素(HCN)分子とホルムアルデヒド(H2CO)分子へ適用した。各分子の振動平均陽電子親和力(分子振動を考慮した分子の陽電子束縛エネルギー)を解析することで、HCNではCH伸縮、H2CO ではCO伸縮、CS2では逆対称伸縮振動の振動励起が陽電子親和力を増大させることがわかった。またこれら陽電子親和力の変化は、無極性/極性分子を問わず、振動励起による永久双極子モーメントと双極子分極率の変化に起因することを見出した。
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