試料の構造を分子レベルで観測できるラマン分光を,試料を傷める可能性が小さい近赤外光を用いて感度良く行うための新しい手法を開発した.この手法を用いて,β-カロテン分子が吸収した光のエネルギーがどのように分子の内部または周囲に散逸するかを明らかにした.光を吸収すると電気を伝える性質を持つ有機高分子(光導電性高分子)化合物を試料とし,青色光を吸収した光導電性高分子のラマンスペクトルを観測した.溶液中において,正電荷を持った状態にある光導電性高分子が検出された.信号の時間変化の解析結果から,正電荷を持った状態の構造および生成機構を提示した.
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