三次元π電子化合物という大目標を達成する方向にスイッチした結果、骨格変換型ペンタフィリン臭素化体の新たな反応性が次々と明らかになった。個々の生成物の正体に関する確たる証拠は十分につかめなかったが、引き続き次プロジェクトによるさらなる発展を期待している。 一方で、オリゴピロール前駆体のスクランブリング反応を経由していると考えられるメゾ-トリフルオロメチル置換ポルフィリンを得た。トリフルオロメチル基は強い電子求引性と三次元的な立体障害により分子に大きな摂動を与えるが、βオクタアルキルポルフィリンのメゾ位に導入された事例は学術論文への報告がなく多くの知見が未開拓だった。本手法では側鎖の種類に応じて1~2個のトリフルオロメチル基が導入され、それらの置換位置によってポルフィリン環の三次元的なゆがみ方も異なっていた。内部空孔に亜鉛を配位させたときのみトリフルオロメチル基が加溶媒分解反応を示しメトキシカルボニル基へと変化することもわかった。これらの反応性を利用して新奇三次元πシステムを構築する計画を提案できる。
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