研究課題
(1) 分子フォトニックワイヤのフォトン伝達能の評価 分子フォトニックワイヤのモデルとして、3種の非対称ビス(ジピリナト)亜鉛複核錯体を合成した。これらはいずれも一方の末端にアントラセン、架橋部位としてジピリン配位子、もう一方の末端にπ拡張ジピリン配位子を有しており、この記載順に光励起エネルギー勾配を有する。いずれの錯体も、トルエン中、どの色素部位を励起してもπ拡張ジピリン配位子のみからの蛍光を示した。蛍光量子収率は励起する配位子によらず、高く一定の値(0.65-0.78)を示した。この事実は、アントラセン末端からπ拡張ジピリン配位子末端へと光励起エネルギーが定量的に移動することを意味している。すなわち多核化によりフォトニックワイヤが構築可能なことを示す、重要な知見である。(2) トリアリールアミン共役ビス(ジピリナト)亜鉛錯体 表題の単核錯体を合成し、その電気化学特性を明らかとした。通常の亜鉛錯体に比べ、1電子酸化に関するレドックスの可逆性が高まることを見出した。(3) ビス(ジピリナト)亜鉛錯体ナノシートの合成 一次元ワイヤの概念を二次元ナノシートへと拡張するため、三叉のジピリン配位子を合成し、亜鉛イオンとの錯形成によりナノシートの構築に成功した。またこのナノシートが色素増感型の光電変換能を有することを見出した。研究延長期間内に、(1)の成果について、Chemical Communications誌への掲載を完了した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)
Chem. Sci.
巻: 未定 ページ: 未定
10.1039/C5SC00273G
Dalton Trans.
10.1039/C5DT00724K