3つのチタン金属からなる三核ヒドリド錯体を合成した。この錯体と窒素を反応させたところ、常温・常圧で窒素分子の窒素-窒素結合の切断、窒素-水素結合の形成に成功した。また、反応プロセスについて理論計算も含め詳細に検討し、本反応では、新たな電子剤やプロトン源を必要とせずに、チタンヒドリド化合物のヒドリド原子(H-)が、電子を与える電子剤として働くことで窒素分子の結合を切断し、また電子を放出することでプロトン(H+)として働き窒素の水素化を実現していることを明らかにした。この成果は、将来的に窒素と水素から温和な条件下でアンモニアを合成する省資源・省エネ型手法の開発につながると期待できる。
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