研究課題
平成27年度は、本申請課題で開発を進めているコンプトンプロファイルのラインシェイプを用いたリチウム濃度定量法を、市販のコイン型リチウムイオン一次電池に適用した。リチウムイオン一次電池を15.57時間かけて放電させながら、入射X線を電池の高さ方向に繰り返し走査し、コンプトンプロファイルの測定を行った。得られたコンプトンプロファイルにそのラインシェイプの変化を数値化するパラメータ(Sパラメータ)を適用した。その結果、放電が進むにつれて正極内のセパレータに近い部分からSパラメータの高い領域が広がっていくことが観測され、それに伴いセパレータの位置が変化することが分かった。これは、放電によりLiイオンが負極から正極内に拡散していき、セパレータに近い部分からリチウム化合物が形成されることで正極材料の体積膨張が引き起こされたと考えられる。この正極材料の体積膨張によりセパレータの位置が変化したことが示唆される。放電開始直後と測定終了時のコンプトンプロファイルを調べたところ、リチウム化合物の生成を支持する結果が得られた。そこで、昨年度実証したSパラメータとリチウム濃度との検量線を用いて、放電過程におけるリチウム濃度の変化を調べた結果、おおよそ16時間の放電時間でSパラメータが6%変化し、MnO2正極内でLi0.75MnO2が形成されることを見出した。本成果により論文発表およびプレスリリースを行った。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Journal of Applied Physics
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