本研究において、リチウムイオン二次電池正極材料LixMn2O4にコンプトン散乱法を適用し、リチウムイオンの挿入・脱離に寄与する酸化還元軌道を明らかにした。従来、LixMn2O4の酸化還元軌道はMn 3d軌道と考えられてきた。しかし、本研究からLixMn2O4の酸化還元軌道はO 2p軌道であり、リチウム挿入に伴いMn 3d軌道が実空間で非局在化することを見出した。 また、高エネルギーX線コンプトン散乱法によりリチウム組成を定量する手法の開発を行った。その結果、実験より得られるコンプトンプロファイルのラインシェイプのリチウム組成依存性と試料のリチウム組成との間に線形関係が成り立つことを見出した。
|