研究課題/領域番号 |
24750072
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宗 伸明 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90336008)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 無機ナノシート / 酵素 / 発光 / バイオ材料 |
研究概要 |
本研究では、無機ナノシートと酵素から成る複合体を構築し、外部光源を必要としない新たな自己発光型蛍光イメージング法の開発を目的としている。本年度は、無機ナノシート/酵素複合体の構築について試みた。無機ナノシートは、固相法と液相法の二種の手法で合成することにした。前者の固相法では、炭酸セシウムとチタン酸を混合して800℃で20時間焼成した後、焼成粉を乳鉢ですりつぶして混合し、再度焼成して粉末化した。粉末の一部を塩酸溶液に分散させ振盪させた後、上澄みを除去するという操作を4回行うことによりプロトン交換処理を行った。次に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを適量加えて分散液の剥離処理を行った後、酢酸水溶液の添加によりpH調整を行うことで、目的の無機ナノシートの合成に成功した。一方、後者の液相法では、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドに対して、塩化ユウロピウムとチタンテトライソプロポキシドの混合溶液を添加した後、60℃で2時間振盪させた。その後、得られたコロイド溶液を限外濾過により精製することで、目的とした無機ナノシートの合成に成功した。蛍光性元素を含有する後者の無機ナノシートについて蛍光測定を行ったところ、励起スペクトルと蛍光スペクトルが観測され、極大励起波長が395 nm付近、極大蛍光波長が615nm付近に存在することが明らかとなった。また、固相法、液相法いずれの手法で作製した無機ナノシートに関しても、発光反応を触媒する酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼを適切な条件下で加えた場合、無機ナノシートと酵素との静電的相互作用の結果、目的とした無機ナノシート/酵素複合体が形成されることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、無機ナノシートを合成し、これを用いて無機ナノシート/酵素複合体を構築することを目標としていた。研究実績の概要に記したとおり、この目標を達成できたため、達成度を「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、形成した無機ナノシート/酵素複合体に基質を導入し、その自己発光特性について詳細に評価することを予定している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度は予定していたよりも薬品の必要量が少なく、次年度使用額が生じた。次年度は、無機ナノシート/酵素複合体の発光特性を調査するため、生化学試薬等の薬品を中心に、主に消耗品費として助成金を使用することを予定している。
|