研究課題/領域番号 |
24750073
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
遠藤 達郎 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40432017)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | フォトニック結晶 / バイオセンサー / 抗原抗体反応 / 電子線描画装置 |
研究概要 |
本研究の目的である抗原抗体反応によって生じる屈折率変化に対して高感度かつ顕著に反射スペクトル変化を示すフォトニック結晶構造を明らかにし、さらに高感度なフォトニック結晶バイオセンサーを開発するため、種々の形状・サイズ・アスペクト比を有するフォトニック結晶を電子線描画装置を用いて作製し、周辺屈折率変化に対する光学特性変化の測定を行った。なお、形状・サイズ・周期は描画条件(描画線幅)、アスペクト比は電子線レジスト塗布条件(スピンコート回転数)を制御することで作製した。光学特性変化測定は、作製したフォトニック結晶を異なる屈折率を有する純溶媒(超純水・エタノール・メタノール等)中へ浸漬させた後、反射スペクトル測定を行い、もっとも高い単位屈折率あたりの反射ピーク強度変化量を示した構造を抗原抗体反応の検出に使用することとした。 本研究では、種々の形状(三角・四角・円)、サイズ(200~400 nm)、周期(三角配置・正方配置)を有するホールアレイ型フォトニック結晶作製に成功し、屈折率応答性評価を行った。その結果、形状については大きな差異は観察されなかったが、サイズおよび周期が周辺屈折率に対する光学特性変化に大きく寄与することが明らかとなった。加えて、センサー応用を行う際にはフォトニック結晶と試料溶液の接触面積が大きいほど顕著に光学特性変化を示すことが明らかとなり、抗原抗体反応の検出に適したフォトニック結晶の設計に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度の目的は、抗原抗体反応の検出に適したフォトニック結晶の設計指針を明らかにすることであったが、作製したフォトニック結晶を用いて抗原抗体反応の検出に着手し、糖尿病のマーカー分子であるインスリンを高感度に検出することに成功しているため、当初の計画以上に進展していると評価する。また、現在は当該年度で得られた知見を基に、さらなる高感度を実現するためのフォトニック結晶の設計に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた知見を基に、さらなる高感度化を実現するため、フォトニック結晶下部に導波層を形成し、フォトニック結晶より反射される光強度を増強させることることを計画している。導波層を形成することで、反射光強度を増強させられることが期待でき、抗原抗体反応検出をさらに高感度化させることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた状況:本研究で購入を計画していた物品費を安価に購入することができたこと、そして抗原抗体反応検出に使用する試薬類を少量で使用可能としたことで当該研究費が生じた。 翌年度以降に請求する計画比と併せた使用計画:フォトニック結晶の光学特性評価を高精度に行うため、光学顕微鏡を導入し、顕微分光法による詳細な特性評価を行うことを計画している。
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