研究課題/領域番号 |
24750079
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤井 紳一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10415739)
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キーワード | 核酸 / 塩基配列 / 定量分析 / 質量分析 / 分離分析 |
研究概要 |
当該研究課題に関して、平成25年度は、初年度に設定した課題の成果に基づき、特に質量分析を用いた核酸の定量評価を実施した。具体的には、これまでに合成、評価を行った核酸および、定量評価が行われた認証標準物質等を用いて、対象となる高分子DNAの質量分析を行った。初期のモデル試料としてオリゴDNAを予定したが、さらなる範囲拡大を念頭に、600塩基対程度の長鎖DNAを対象としてその定量評価を行った。これらの試料は、同位体希釈質量分析法などの他手法で定量評価された核酸を用いており、測定に関する妥当性を評価した。 測定における分離分析技術としては、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)やキャピラリーゲル電気泳動(CGE)法を適用した。HPLCについては、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラムを用いた分離系を検討し、特に、質量分析に適用するために、溶離液中に塩などの添加物を極力含まない分離系を構築し、こうした方法でも繰り返し再現性良く分離可能な手法を確立した。CGEについては、独自に開発した質量分析装置用の微少試料導入装置を使用することでゲルを含有する分離緩衝液を直接的に質量分析装置に導入可能な手法として確立した。両分離技術について、質量分析技術と融合した複合分析技術を確立し、長鎖核酸の定量分析を行い、既報と比較して高感度かつ、安定した分析を可能とした。これらの高分子核酸を対象とした質量分析技術について、学会発表と論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題について、平成25年度においては、研究計画に従って前年度の研究成果を基にした応用的研究を実施した。平成25年度実施の課題については、研究計画に記した内容と実施内容とは想定した結果と評価結果が概ね符合するものであり、順調に研究が進展していると判断する。特に、測定対象については、従来想定していた低分子化合物よりも範囲を拡げ、高分子の核酸において実証できた点については、予想以上の進展といえる。また、これらの結果については、学会発表と論文投稿を行っており、対外的にも高く評価されていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、平成25年度の実施状況が概ね順調であったことから、交付申請時に計画した研究実施計画に従って推進する。平成26年度については、前年度までに構築した核酸定量評価技術の適用範囲を拡大すると共に、認証標準物質を用いたバリデーションを実施することによって、定量評価手法の妥当性評価を行い、研究全体を総括する。平成25年度までに、モデル評価系として、オリゴDNAを測定対象範囲とするが、最終年度では実用性を評価する上でも適用範囲をより高分子範囲かつRNAなどの他の分子種に拡張する。本研究で開発する核酸定量評価技術の妥当性評価について、認証標準物質等の原理の異なる他の定量評価手法で定量された核酸を対象としてバリデーションを実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に行った検討項目において、良好な結果を得ることができたため、想定していた検討項目を行う必要が無く、その検討に必要な試料、資材が不要となったため未使用額が生じた。 未使用額に関して、平成26年度の検討項目に挙げる、適用範囲と分子種の拡大のための試薬、資材購入に用いる予定である。
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