N-ヘテロ環状カルベン(NHC)触媒によるオレフィン極性転換の概念を用いて、耐熱性ビニル系高分子を合成するための重要な原料である環状オレフィンモノマーの新規合成法の開発を行った。まず極性転換を進行させるNHC触媒の選定を行い、この知見に基づき、分子内反応1種類、分子間反応2種類の新規反応形式を検討し、5つの環状オレフィンを生成させることに成功した。特に、アクリル酸エステルの環化四量化反応からはシクロペンテノン骨格を持つ生成物が得られた。さらに、この触媒反応に対して、極性転換が関与する反応機構を実験的に立証し、NHC特有の触媒作用について解明した。
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