高分子はその構成単位によって多種多様な性質を発現することから、様々なモノマーが開発されている。さらにはブロックやグラフト コポリマーのような様々な組成のを有する高分子の開拓によってボトムアップ式の研究が推し進められてきた。一方で、高分子の形(トポロジー)に 着目した研究においても近年精力的に行われている。 このようなバックグラウンドから、共役系高分子の性質を形の観点から考えるため、新たに共役系星型やくし型高分子といった概念を 提案した。 そのために、軸となる共役系高分子の合成法を開発してきた。主鎖骨格として規則性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)はモルフォロジーの構築による光学物性変化が著しく起こる事から、重点的に合成法を検討した。直接的アリール化法を用いた合成法では選択性に乏しく、直鎖状の高分子を得る事は極めて困難であったが、新たな触媒系としてパラジウム炭素を用いる事で、その合成に成功した。更に、意図的に三官能性のモノマーを適用する事で分岐状の共役系高分子を得た。また、モノマー比の調整によってネットワーク状の共役系高分子の合成にも成功し,この高分子の細孔分布測定を行ったところ、メソ孔をもつ共役系マイクロポーラスポリマーであった。この高分子は窒素と二酸化炭素の吸着脱着実験から、二酸化炭素の吸着を選択的に行える事がわかった。これにより、共役系高分子のトポロジー制御によって、その物性の効果的な制御を達成したと言える。
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