研究課題/領域番号 |
24750122
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 康介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40595667)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ポリオキソメタレート / 構造・機能材料 / 触媒 |
研究概要 |
本申請研究では、分子性金属酸化物であるポリオキソメタレートが有する配位性空間を利用して、異種金属からなる多核クラスターの合成と機能制御を行うことを目的としている。本年度は、(1)2つのシリコタングステートにサンドイッチされた希土類金属二核構造体の合成と、(2)これを用いたルイス酸・塩基触媒、単分子磁石の開発を行うことに成功した。種々の希土類金属二核構造をもつシリコタングステートが、トリメチルシリルシアニドを用いたカルボニル化合物のシアノシリル化反応の優れた触媒であることを見出した。単結晶X線構造解析および各種分光分析の結果、この高活性の要因は、希土類金属イオンと高い負電荷を持つシリコタングステートがそれぞれ同一分子上におけるルイス酸・塩基点として機能し、カルボニル化合物とトリメチルシリルシアニドを活性化できるためであることが示唆された。導入する希土類金属のイオン半径が大きいほど活性が向上し、ネオジム二核構造体が最も高い触媒活性を示した。また、ジスプロシウム二核構造体は、金属間の架橋配位子の形成と除去により、可逆にオン・オフ制御が可能な単分子磁石挙動を示すことを見出した。さらに、ジスプロシウムと種々の希土類金属からなる異種二核構造体の選択的な合成法を開発し、金属種に応じて単分子磁石の磁化反転の活性化障壁を制御することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ポリオキソメタレートを用いて、様々な種類の金属多核構造を効率的に合成する手法の開発に成功し、さらに、新たな触媒特性や磁気特性を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ポリオキソメタレートからなるナノ空間を利用して2種類以上の金属イオンからなる異核構造の合成と機能開発を進めていく。(1)2種類以上の遷移金属からなる多核構造、(2)遷移金属と希土類金属からなる多核構造の合成を行うことを予定している。特に、ステップワイズに金属を導入する手法を用いて、空間内における金属配列を設計することで磁気的相互作用の制御を行い、単分子磁石としての性質の発現・制御を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画変更で若干の残額が発生したが、次年度の試薬購入などの物品費として使用する予定である。
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