研究課題/領域番号 |
24750128
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
板谷 篤司 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60379708)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セラミックス / ゼオライト / 細孔 / 窒素 / 吸着 / 活性化 |
研究概要 |
セラミックス材料であるゼオライトやメソ多孔体シリカの細孔を反応場として利用すれば、本来、不活性なガスとして知られるものでも活性化することができる。本研究では、このようなセラミックス材料を用いて、不活性なガスとして知られる窒素分子を代表とするガスの活性化をマイルドな条件下(室温付近の温度や低いガス圧)で達成することを目的とした。最初に、銅イオンや鉄イオン、さらに、亜鉛イオンで交換したゼオライトやメソ多孔体シリカを調製した。銅イオン交換ゼオライトについて、イオン交換時にカウンターイオンの種類が異なる溶液を用いて調製した試料やイオン交換回数をかえることにより交換量の異なる試料も得た。室温における窒素吸着特性を調べたところ、調製した試料の中でも、酢酸銅(II)水溶液で調製した銅イオン交換率が138%の試料やアンモニウムイオンで一旦交換したゼオライトを酢酸銅(II)水溶液で銅イオン交換したイオン交換率116%の試料がより強く窒素を吸着することがわかった(不可逆吸着量:約2.5 cm3 (S.T.P.)g-1;不可逆吸着に寄与するサイトである一価銅イオンの割合:2~3割)。銅イオン交換ゼオライトに関して、得られた値の中ではこのような値が最大であった。XAFS測定から吸着種構造の同定も行った。このような実験から窒素の活性化を試みる実験に使用する試料のチューニングができた。これら二種の試料をターゲットとして窒素の活性化を試みることにした。また、高真空で排気するためのターボ分子ポンプや圧力をモニターするための真空計を取り付けた高真空ラインを作製した。現在、試料に強く窒素を吸着させ、それらの活性化が可能な反応条件の確立を行っている。また、本研究を遂行する過程で、銅イオンや他の金属イオンで交換したゼオライトはエタンや二酸化炭素などのガスとも室温で強く相互作用することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
窒素分子の活性化において、より高い可能性を有する試料の調製は行えた。さらに、真空ラインの作製も終えた。現在、様々な条件のもと、窒素の活性化試験を行っている状況にあることから、当初の計画に対しておおむね順調に進展していると考えている。しかし、本研究の目標であるマイルドな条件下での窒素の活性化には至っていないので反応条件の確立を早急に行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画を引き続き行うとともに、試料に強く窒素を吸着させたものにプラズマや紫外線照射処理することにより生成する種の定性・定量を行う。また、平成25年5月1日から研究代表者の所属が変更となることから、これらの測定には、これまで所属していた研究機関の装置を用いて検討しながら反応条件を確立する(旅費の一部はそのために充てる)。さらに、吸着した窒素と水素からアンモニア合成の可能性を模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費の購入において一部予定より安価に購入できたものがあり、そのために生じた費用は、次年度の物品費に充てる。
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