研究課題/領域番号 |
24750132
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
豊玉 彰子 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (50453072)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コロイド / コロイド結晶 / 微粒子 / 不純物排除 |
研究概要 |
金属や半導体など結晶材料の諸特性は、結晶中の不純物の種類や量により著しく影響される。特に、不純物原子/分子の材料中での拡散は、材料の変形や酸化、成分の析出などに影響する。不純物拡散の解明には、不純物が作る格子欠陥近傍の1原子/分子のミクロな拡散過程の理解が必要であるが、その直接観察は困難であり、これまで結晶のマクロ特性から拡散機構が推定されてきた。一方、荷電したコロイド微粒子が水媒体中で静電反発により形成する「コロイド結晶」は、一粒子のその場・実時間観察が可能なモデル系である。そこで、不純物粒子添加によりコロイド結晶に格子欠陥を作り、その近傍の粒子の拡散過程を光学顕微鏡観察し、マクロな不純物の挙動と比較検討することを目的とし、本研究を行った。 今年度は、マクロな不純物排除挙動の検討を行うため、以下の検討を行った。 1、試料精製・キャラクタリゼーション:コロイド結晶格子を形成する粒子として、市販の粒径500nm前後のポリスチレン粒子を、また不純物粒子として粒径300~600nm のポリスチレン粒子(共にThermo社)を用いた。粒子は透析・イオン交換法により精製し、電気伝導度法、ゼータ電位法により粒子表面電荷数を決定した。また、動的光散乱法により粒径を測定した。 2、結晶化検討:コロイド結晶化の駆動力である静電反発力は、粒子濃度、系のイオン濃度によって調節できる。結晶化相図を粒子濃度、塩濃度の関数として決定した。粒径が大きくなると結晶構造が観察できる塩濃度が限定されるため、実験が困難であった。今後は、結晶格子を形成する粒子のサイズの最適化を検討する必要があることが明らかになった。 3、不純物添加系の観察系の作成:倒立型顕微鏡にモノクロのハイスピードカメラを接続した観察系を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目に関する達成度は以下の通りである。 1、試料精製・キャラクタリゼーション:コロイド結晶格子を形成する粒子として、市販の粒径500nm前後のポリスチレン粒子を、また不純物粒子として粒径300~600nm のポリスチレン粒子(共にThermo社)を用いた。粒子は透析・イオン交換法により精製し、電気伝導度法、ゼータ電位法により粒子表面電荷数を決定した。また、動的光散乱法により粒径を測定した。しかしながら、次項に記載した通り、観察しやすい大きさのコロイド粒子は不純物イオンに対して、非常に敏感であり、目的とする構造が形成されないことがある。そのため、さらに様々なサイズの粒子を検討するべく、今後も引き続き試料精製およびキャラクタリゼーションを行う必要が有る。さらに、蛍光粒子に比べて消光速度が遅い量子ドットを使用した微粒子の合成を行った。非常に明るい粒子である為、観察には非常に向いているが、未だ安定した粒子を合成するには至っていない。 2、結晶化検討:コロイド結晶化の駆動力である静電反発力は、粒子濃度、系のイオン濃度によって調節できる。結晶化相図を粒子濃度、塩濃度の関数として決定した。粒径が大きくなると結晶構造が観察できる塩濃度が限定されるため、実験が困難であった。このため、結晶格子を形成する粒子のサイズを検討する必要があり、引き続き結晶化検討を行う。 3、不純物添加系の観察系の作成:倒立型顕微鏡にハイスピードカメラを接続した観察系を作成した。粒子径が大きい場合、粒子の動きも遅くなる為、より観察のしやすい蛍光粒子を用いた通常の顕微鏡用デジタルカメラによる観察が可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
前項に記した通り、引き続き、不純物添加系の観察系を確立する。観察の容易さおよび特性時間により、用いる粒子を決定した後に、マクロな不純物排除挙動と一粒子観察によるミクロな拡散挙動の観察を行う。観察は光学顕微鏡および共焦点レーザースキャン顕微鏡による直接観察のほか、ファイバー型分光器などを利用することにより、結晶構造に起因する回折ピークの半値幅などの光学的性質も利用する。 不純物排除が観察された系においては、順次、結晶内の不純物粒子分布の時間変化に対して、拡散方程式を用いてモデル計算を行いマクロな拡散定数を決定する。 さらに、次年度は研究計画の最終年度であることから、結晶における不純物の拡散に対する知見を利用することで、コロイド結晶内部における不純物拡散の過程を理解することを目的とし、鋭意検討を続ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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