研究課題
本研究は、X線吸収分光法(XAFS)により光電極上の酸化マンガンの電子状態を測定し、光電極内部で生成した励起キャリアが酸化マンガン助触媒上へ移動する様子を観測することを目的とした。平成25年度の実験では、光電極反応で生成した水素・酸素ガスを検出するガスサンプリングシステムを作製し、光電極活性を見積もった上でXAFS測定を行えるように改良した。そのため、平成24年度からの研究期間全体を通じて、PFやSPring-8でin-situ XAFS測定装置や光電極活性測定装置の開発を行い、酸化マンガンを電着したNb:SrTiO3光電極を調製し、紫外光照射下でのMn-K端XAFSスペクトルを測定することに取り組んだ。実際に光電極反応が進行する中でXAFSスペクトルを測定すると、3価のマンガン種が4価に酸化される様子が観測され、Nb:SrTiO3光電極内部で生成した励起ホールが酸化マンガン助触媒に移動する様子を観測できることが分かった。このとき、電極電位を0.5 Vから-0.5 Vまで変えて同様の測定を行うと、光電極活性の減少と対応してXAFSスペクトルの吸収端のシフトが観測されなくなり、光電極活性と相関があることが示された。また、紫外光の光量を変えてXAFS測定を行うと、光量が強いほどXAFSスペクトルのシフトが速くなり、励起キャリアの移動が紫外光の光量に依存することが示唆された。そのため、本研究では、光電極内部から酸化マンガン助触媒上への励起キャリアの移動をXAFSによって見積もれることが分かり、励起キャリアの移動は光電極活性と相関があることが分光学的に明らかになった。
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