精密制御可能な外部刺激によって分子性固体の物性を制御することは、将来のナノデバイスや分子素子への発展を考える際の重要な課題である。この実現にあたり本研究では下記の成果を得た。(1) フェロセン-ニッケラジチオレン錯体における、温度により制御されるスピン密度分布の再配置を伴うプロトン共役分子内電子移動の実現、 (2) フェロセン-TTFにおける、ユニット間相互作用に基づく分子内電荷移動吸収および分子内スピン間相互作用の発現、(3) 発光性・高光安定性を示す稀有なラジカルの創製、ならびに(4) このラジカルの外部刺激応答能を用いた新奇な発光性金錯体や強磁性スピン相互作用を示す銅錯体の創製。
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