研究課題/領域番号 |
24750145
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
井出 裕介 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40449327)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光触媒 |
研究概要 |
期待通り、CO2雰囲気下では安価なTiO2系触媒でも高効率かつ選択的な有機物の部分酸化(有機合成)が実現した。ベンゼンの部分酸化と同様工業的に重要な反応であるシクロヘキサンの部分酸化も,CO2雰囲気下では,P25を鉄で修飾した材料上で効率的かつ選択的に進行した.安価な触媒であっても,反応をCO2雰囲気で行うだけで,太陽光エネルギーによる物質変換が可能であった. 一方有機合成用だけでなく,有機化合物のCO2への完全酸化用,即ち環境浄化用の反応環境も開発した.ギ酸などの有機酸は,様々な有機化合物の分解過程で検出される水中汚染物質であるため,不均一系光触媒によるCO2への無害化は重要な課題である.Au微粒子担持CeO2は可視光照射により水中ギ酸を水とCO2へ完全分解することが報告されている.申請者は,同反応を密閉反応容器内の気相にCO2吸収剤として知られるアミン担持メソポーラスシリカを設置し,太陽光照射下で行うと,ギ酸の分解速度が劇的に加速することを見出した.この促進効果は,CO2吸収剤をソーダ石灰など他の吸収剤に変えても,またTiO2単体による太陽光照射下での水中フェノールの分解でも観察され,さらにCO2吸収剤の性能(CO2吸収速度,容量)や添加量に依存したことから,吸収剤によって気相CO2が減少し,CO2の溶解平衡を保つために水中からのCO2の発生,即ち水中有機化合物の完全酸化が促進されたためであると考えた。金属有機構造体(MOF)など固体CO2吸収剤の開発には目覚しい進歩があり,その性能次第では太陽光とTiO2による水質浄化が実現するかもしれない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CO2雰囲気下での部分酸化(有機合成)、CO2吸収材存在下での完全酸化(環境浄化)ともに、安価なTiO2(もしくは表面修飾したTiO2)でも効率的、選択的に進行することを見出し、汎用性も確認できた。機構もある程度は解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
さらな高活性化に向け、材料設計、反応装置設計を行う。 さらに、新たな「反応環境」も開発し、「CO2雰囲気下」と「CO2吸収材存在下」と網羅的に組み合わせ、実用レベルの活性を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までに、前年度に購入したキセノンランプに、デモ機として装着しているモノクロメータを購入し、詳細な触媒活性の評価を行う。
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