アンモニア含有排水の新たな処理法として、光触媒を用いた酸化分解法について検討を行った。水中アンモニアを高速で高窒素選択的(低硝酸・亜硝酸イオン選択的)に処理する高機能触媒の開発および反応条件の確立に関して今年度は主に以下の事柄が明らかとなった。 (1) 昨年度の検討で、酸化チタン光触媒に助触媒としてパラジウムを担持すると硝酸・亜硝酸イオン選択率を特異的に低く抑えて処理できることがわかったため、パラジウムの存在状態や反応条件が生成物の選択率に与える影響を調べた。パラジウムの粒径の異なる試料で比較したところ、粒径が2-3 nm以下の粒子が小さい状態で存在する場合に硝酸・亜硝酸イオンの選択率を低く抑えられることがわかった。また、反応前に水素還元処理をしたり、溶存酸素濃度の比較的低い条件で反応を行うと硝酸・亜硝酸イオン選択率の低減効果が見られなくなったことから、パラジウム表面が酸化された状態で、窒素生成が促進されることがわかった。さらに、反応温度を変えて反応を行ったところ、反応温度の高い条件で窒素選択性が高くなることが明らかとなった。 (2) 昨年度の検討で、アンモニアを吸着する能力の高いモルデナイトと酸化チタン光触媒を複合化することにより硝酸・亜硝酸イオン選択率を低減させる効果があることが明らかになったため、複合化の方法やモルデナイトと酸化チタンの比率等を変えた試料で比較を行い、よりその効果が発揮される条件について検討した。チタン前駆体溶液を酸化チタンに含浸し、それを加水分解する方法で調製することで、モルデナイト上に酸化チタンを比較的高い分散状態で担持することができた。また、酸化チタン含有率が10%以下のように低い状態の場合に硝酸・亜硝酸イオン選択率の低減効果や酸化チタン重量当たりの活性が高くなる効果が強く発揮されることが明らかとなった。
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