研究概要 |
連続光源を用いたCW-CRDS法を用いた自動車排出ガス分析装置を開発した。この装置の特徴は連続光源を用いるため、信号測定時にレーザー光を速やかに遮断するAcoustic optical modulatorを使用している点と、リングダウンシグナルを得るために光路長を微小振動させるピエゾアクチュエーターをミラーホルダーに内蔵している点である。今回開発した装置での検出限界はNO2、ニトロメタン、p-ニトロフェノールそれぞれ2 ppbv, 3 ppbv, 5 ppbvと非常に高感度な計測が可能かつ、1Hzのリアルタイム計測を30分以上測定可能な安定性を備えている。また、他の炭化水素からの干渉影響に関しては58種類の代表的な炭化水素を用いて干渉影響が無いことを確認した。今回の試験では新短期規制適合トラックのからの排出ガスを主に測定した。 この装置を用いて新短期規制適合車両からのp-ニトロフェノールの測定を行った。冷態始動から試験を始めるコールド試験で始動直後に多量に排出され、その後は暖気状態で試験を行うホット試験と同程度の排出となっていることが確認できた。 また新長期規制適合トラックからのニトロメタンの計測を行った。新長期規制ではNOxの排出量が前記の試験車両である新短期規制適合トラックと比べると40%程度減少しているが、ニトロメタンの結果をみると排出量が50倍程度と大量に増加していることが確認される。今回確認されたように、より厳しい規制に適合するために開発されたトラックが、規制物質に関しては排出が減少しているが、未規制の有害物質の増加を誘発しているケースは多々存在すると思われる。 これらに加えて自動車排出ガスによる大気汚染の啓発のためにシンポジウム”自動車と大気環境”を実施し、80名を超える参加者を集め、大盛況であった。
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