赤外連続発振式レーザを用いたCavity Ring Down Spectroscopy (以下CW-CRDS)による自動車排出ガス分析装置を改良したJET-CRDS法を実施可能な装置の開発を行った。性能評価によると、この装置は10-4Pa程度まで減圧可能であり、この減圧下にサンプルガスをジェットで噴きだすことにより10K程度まで冷却することができ、吸収をシャープなものとして感度を維持するとともに、他の物質による干渉を排除することができる。1500cm-1付近での水のスペクトルを用いて確認したところ、通常のCW-CRDS法と比べ、シャープなスペクトルが得られることを確認した。 CW-CRDS法を用いて自動車からのニトロメタン、p-ニトロフェノールの測定を行った。実際の自動車排出ガスの測定を行うに際して、水、炭化水素成分、ニトロメタン計測の際のNO2、p-ニトロフェノール計測の際の異性体による干渉の影響は前処理による除去、もしくは影響が無いことを確認した。排出ガス測定に用いた車両は新短期規制適合トラックであり、シャーシダイナモ上を走行した際の排出ガスを、全量希釈装置を用いて希釈し、それぞれの成分をリアルタイム測定した。また、走行モードは日本の認証モードであるJE05モードを用いた。ニトロメタンは加速時および高速走行時に50ppbV程度の排出が確認され、p-ニトロフェノールは暖気終了後で20ppbV程度、始動直後で100ppbV程度のブロードなピークが観測された。
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