研究概要 |
La系ペロブスカイト型酸化物を検知極に用いた電流検出型NOxセンサの研究を行った。平成25年度は、化学的安定性に優れるLa-Al系ペロブスカイト型酸化物に着目し、高温還元雰囲気下で安定に作動するセンサの開発を行った。噴霧熱分解法を用いてLa0.8Sr0.2AlxMn1-xO3(x=0, 0.2, 0.4, 0.6)の合成を行ったところ、いずれも単相のペロブスカイト型酸化物を合成できた。これら酸化物を高温還元雰囲気(4% H2、750℃、2 h)下で処理を行い、その前後のXRD測定結果を比較したところ、Al無置換の場合は構成金属からなる酸化物や金属に分解していたのに対して、Al置換系はペロブスカイトの相を示すことが分かり、高温還元雰囲気下で安定に存在できる材料であることが確認できた。作製した酸化物を検知極に用いたセンサ素子のNO2に対する応答特性は、Bサイト金属のAlをMnで置換していくと応答性が向上し、特に、x=0.4の場合には無置換の場合の約3倍の応答を得られた。しかし、x=0.6の場合は、応答が大きく減少した。素子作製温度である1200℃でこの酸化物を処理した場合のBET比表面積は、Mnを置換するほどその値が低下し、x=0.6の場合には無置換の場合の1/4程度の比表面積を示したため、焼結性が向上したことによる電極反応面積の低下が原因であることが示唆された。そこで、素子作製温度の最適化を行い、この温度を1000℃に低温化した結果、x=0.6の場合の200 ppm NO2に対する応答は約10倍向上し、Al無置換の場合とほぼ同等の応答特性を示した。したがって、Bサイト金属をAlとMnで複合化することで高温還元雰囲気の耐久性と応答性を両立可能なことがわかった。
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