生体内では、分子間の弱い相互作用による過渡的な複合体形成が重要な役割を果たしている。本研究では、弱い相互作用の担い手として糖鎖に着目し、常磁性NMR法を応用することで、糖鎖の立体構造、ダイナミクス、相互作用様式を明らかにすることを目的とした系統的な解析を実施した。 常磁性タグ修飾を活用したNMR計測による精密実験データに裏付けられた分子シミュレーションを通じて、複雑な分岐構造と柔構造を有する糖鎖の動態を定量的観点から描象することに成功した。さらに、タンパク質による糖鎖の分子認識に際して、多様な構造アンサンブルの中の特定のコンフォマーが選ばれる様子を明らかにした。
|