研究課題
RNAiは2 本鎖RNA により誘導され、その塩基配列に相補的な遺伝子の発現を抑制するシステムである。本研究では、RNAiを作動する因子siRNAに対し機能性分子を修飾した分子ツールを開発している。これを利用し、RNAi関連タンパク質とsiRNAとの相互作用を解析し、RNAiシステムの作動メカニズムを解明することを目指している。昨年度合成に成功した光クロスリンク基であるジアジリンのD-threoninol誘導体のアミダイトモノマーを用い、RNAに導入し光架橋性を解析した。その結果、このジアジリンは相補鎖RNAと鎖間でクロスリンクしてしまうことがわかった。このことから、本ジアジリンは目的タンパク質との架橋効率が低いことが疑われたため、ジアジリン化合物の再設計を行った。光反応性部位を二重鎖の外に位置させることを狙い、新たなジアジリン化合物の合成を行った。反応性を解析したところ、期待通り相補鎖に対する架橋性は観測されなかった。そこで、この新規ジアジリンをpre-miRNAに導入し、RNAi関連タンパク質であるDicerとのクロスリンクを試みた。その際にpre-miRNA全長の固相合成が困難であったため、天然RNA鎖とジアジリンとペリレンを導入したRNA鎖をあらかじめ合成し、これらを酵素によるライゲーションを行うことで目的のpre-miRNAの調製に成功した。得られたpre-miRNAに対するDicerの反応性は天然型のpre-miRNAと同程度であったことからクロスリンク導入型のpre-miRNAはDicerにより認識されていることが明らかとなった。そこで実際に光照射を行いpre-miRNAとDicerのクロスリンクを試みた。SDS-PAGEによる解析を行ったところ、Dicer/pre-miRNA複合体の形成によるバンドシフトが観測された。以上のようにRNA結合タンパク質を検出するための適切な光クロスリンク基の設計に成功し、RNAi関連タンパク質であるDicerとの結合を捉えることができた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Accounts of Chemical Research
巻: In press ページ: In press
10.1021/ar400308f
Chemical Science
巻: 4 ページ: 4016-4021
10.1039/C3SC51197A