研究課題/領域番号 |
24750186
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
藪内 直明 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (80529488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 電池 |
研究概要 |
効率的なエネルギー利用のため内燃機関を持たない電気自動車や余剰電力を蓄えるための大型蓄電池の開発などが求められている。近年、電池に求められているニーズが多様化しているが、本研究課題ではこのような状況に対応することを目的として電極材料設計の多様性向上に主眼におき、正極材料としてリチウムイオンに加えナトリウムイオン両種のイオンで電荷貯蔵が可能な新規層状酸化物の探索を行った。その結果、P2型という層状構造に分類可能なNa-Li-Mn系層状酸化物の合成に成功し、ニッケルとコバルトを用いることなくリチウム電池用正極材料として高容量の新規電極材料となることを確認した。また、従来はマンガン系層状酸化物の場合には充放電時の相変化に由来する充放電曲線の形状変化が問題点として知られていたが、放射光X線回折測定を用いた解析の結果、このような相変化が抑制されていることが確認された。さらに、リチウム電池用の電極材料としてのみではなく、実際にナトリウム電池用の電極材料としても非常に活性であることが分かった。通常、コバルトやニッケルなどの層状酸化物も同様な特性を示すことが知られているが、ナトリウム系電極材料の場合にはリチウム系と比較して大きくエネルギー密度が低下することが知られていた。一方、P2型Na-Li-Mn系層状酸化物の場合にはリチウム系に匹敵するエネルギー密度が得られることがわかり、また、今回見つかった新規層状酸化物はマンガンをベースとした材料であることからナトリウムを用いてエネルギー貯蔵を行うレアメタルフリー電池実現へと一歩前進したと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの材料探索の結果として、Na-Li-Mn系の層状酸化物が優れた電極特性を示すことを明らかにしている。また、リチウム、ナトリウム、どちらのイオンを用いた場合でも高容量電極材料となることも確認している。現状で研究の当初の目的はすでに達成している。
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今後の研究の推進方策 |
今年中において新規材料の合成に成功したことから、今後は今回見つかった材料の特異性を解明することを目的とし、電化補償機構の調査など学術的な観点からより研究を深化させていく。これらの結果を元に、さらなる特性改善へと向けた研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度中に新規材料の合成に成功し、次年度はより詳細な電気化学測定を進めていく予定である。そのために、高性能ポテンショスタット(Biologic SP-200)の購入を予定している。
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