研究課題
持続可能エネルギー社会の実現へと向けて内燃機関を持たない電気自動車や電力貯蔵を目的とする超大型の蓄電デバイスへのニーズが高まりつつある。リチウムイオン電池の高エネルギー密度だけではなく、元素戦略という観点から、資源として地球上に普遍的に存在するナトリウムイオンを利用する蓄電デバイスへの実現が期待されている。本研究課題ではリチウムイオン電池用の電極材料としてだけではなく、ナトリウムイオン電池用電極材料としても利用可能な多機能マンガン系電極材料の研究を行った。当該材料に関する成果は学術誌Advanced Energy Materials誌の論文として正式に受理された(2014年4月)。Li[Li1/3Mn2/3]O2系材料は高容量の次世代正極材料として期待されているが、充放電中に不可逆な構造変化により相変化を引き起こすことにより特性が劣化することが知られていた。本課題では遷移金属層にリチウムを含有する層状ナトリウムマンガン系酸化物 (Na5/6[Li1/4Mn3/4]O2) を合成し、さらにイオン交換することにより酸素の充填様式が異なるLi[Li1/3Mn2/3]O2系材料の合成に成功した。得られた試料は上述したような不可逆な相変化が抑制されることが確認され、高容量と長寿命を両立するマンガン系材料となることが確認された。また、Na5/6[Li1/4Mn3/4]O2は高容量のナトリウムイオン電池用正極材料としても利用でき、既存の材料の中でも非常に高いエネルギー密度を有する材料になることを確認している。当該材料はリチウム、ナトリウムイオンという異なるアルカリ金属イオンを効率的に層間に収容可能な多機能な電極材料であり、さらに、電極特性にも優れるという特徴を有する。このような多機能性は電池の高性能化だけではなく、アルカリ金属インサーション材料の統一的な反応機構の構築を行なうにあたり非常に有用な電極系であると考えられる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件)
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