研究課題
バルクヘテロ接合型有機太陽電池の活性層内のドナーとアクセプターの相対配置については分かっていないが、アクセプターに対するポリマーの配向(またはその逆)は、ドナー/アクセプター間の距離・HOMO/LUMOのエネルギー・界面電子準位接続などに影響しうるため、電荷分離/再結合機構に与える因子を解明する上で重要である。今回の研究助成においては、下記のことを達成した。1. 電荷分離/電荷抽出にはface-on配向が有利:P3HTの配向をラビングでedge-on配向からface-on配向に変え、積層型有機太陽電池の電流―電圧(I-V)特性と配向の異なるP3HT薄膜の物性の関連を詳細に調べた。face-on配向の素子では、フィルファクター(FF)が増加した。これは、face-on配向膜の高い移動度により、電荷輸送もしくは電荷抽出の効率が改善したと考えられる。また、蛍光の消光度は、face-onのほうが20 %大きいことが分かった。開放端電圧(Voc)はface-onでわずかに低くなる。今後、界面電子準位接続の精査を要すると思われる。2. 光電変換界面における分子配向分布と太陽電池特性の相関を観測:太陽電池特性を改善する後処理として、熱アニールがよく行われる。我々は、PTB7を150度以上で加熱することで、π-πスタックの分布がOut-of-plane方向に揃い、よりface-on配向が強調されることを見出した。積層型太陽電池を作製し評価したところ、Jsc/FFが加熱により低下した。しかし、蛍光/吸収測定からは、励起子の生成/解離効率における違いを見出せなかった。電子移動吸収に対応する波長の単色光照射下でI-V測定を行った結果、加熱後に負バイアス側でkinkが観測された。これは、自由キャリアの生成効率が低下したことを意味する。
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