研究課題/領域番号 |
24750192
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
関 志朗 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (70371325)
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キーワード | リチウム二次電池 / イオン液体 / 電解質 / 革新型電池 |
研究概要 |
平成25年度は以下3つの事項に着目し、研究を推進した。次世代用蓄電池の電解質材料に関する知見の蓄積につながり、今後のデバイス化に対する見通しを得た。 (1) ILの物理化学的性質の一般化:アルキル鎖長を変化させたイオン液体での各種物性の検証や混合系イオン液体への展開を行い、イオン液体物性の把握・一般化を推進した。 (2) ILのLi二次電池用電解質としての高性能化実証:イオン液体中に溶解させるリチウム塩濃度の変化に伴い、電池のサイクル寿命が変化することを報告したが、本概念・EQCM法での局所濃度検証などにより、高濃度電解質のサイクル特性延伸効果が理論付けできた。また、アニオンを各種変化させた際のリチウム電解液の各種物性測定(粘度・密度・イオン伝導度・自己拡散係数)を行い、アニオンに対する性質の変化を理論的に説明できることを見出した。 (3) 次世代エネルギー変換・貯蔵デバイスへの進化:次世代型蓄電池の陽イオン種として期待されている、Na,Mg,Caを有する金属塩を溶解させた電解液(PC系)について、各種物性の把握を行い、イオン径が大きなものほど、粘性が小さくなる(Li>Na、Mg>Ca)傾向が見られ、価数の変化や濃度の変化にかかわらず、同様の傾向が見られることがわかった。本年度は粘度に加えて、イオン伝導度、自己拡散係数の測定なども完了し、次年度以降に学術論文として取り纏める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) ILの物理化学的性質の一般化:達成度95%:アルキル鎖長変化系については、共同研究先などとの検討結果(分光的手法、計算科学的手法)なども含め、広範なデータ取得に成功した。また、混合イオン液体については汎用イオン液体種同士の多数検討を行うことができ、データベース量として十分な結果を得ることができた。前年度からの具体的な進捗は大きくないが、3ヵ年の目標からの達成度は95%程度である。 (2) ILのLi二次電池用電解質としての高性能化実証:達成度70%:イオン液体を溶媒に用いた電解液の研究は一時ストップさせ、カチオン種・アニオン種に対する物性検討にシフトさせている。電解液としての性質は充分に把握できてきているものの、電池性能に結び付けるには至っていない為、達成度は70%とした。 (3) 次世代エネルギー変換・貯蔵デバイスへの進化:達成度85%:次世代型蓄電池向けの金属イオン種に関する物性把握に関しては、4種イオンを系統把握できる段階となり、学術ベースとしては価値あるデータとなると思われるが、実際の電池作動にはいたっていないため、達成度は85%とした。
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今後の研究の推進方策 |
(1) ILの物理化学的性質の一般化 ・平成25年度までの研究成果により、混合系イオン液体における統一則までを明らかにした。得られた知見を学術論文として取りまとめ、成果公表を進める一方、動的因子の統一則の取りまとめを進める。 (2) ILのLi二次電池用電解質としての高性能化実証 ・高濃度電解液での電池性能を洗い出し、簡便な高性能電解液の解を得る。 (3) 次世代エネルギー変換・貯蔵デバイスへの進化 ・多価イオン電解液における取りまとめを行い、これを学術論文として公表する。また。昨年度までの成果をもとに実電池作動を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度での国外出張(エストニア)を予定したため、余裕を持って次年度使用額を発生させたため。 国外出張および必要備品の購入など、適切な予算執行を行う。
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