本研究は、有機保護剤として光応答性化合物を金属ナノ粒子に複合させることで、光によりスピン配向を可逆的に操るこができる外部刺激応答性磁性ナノ材料の開発を目的とし、最終年度には、1.光応答性保護剤を有するサイズの異なる金ナノ粒子の合成法の確立および、2.光照射による組織化制御を実施した。 1. 光応答性保護剤を有するサイズの異なる金ナノ粒子の合成法の確立:テトラヒドロフランを溶媒に用い単相で塩化金酸の還元を行うことで、平成24年度に調製した平均粒子径2.6 nmより小さい1.5 nmの金ナノ粒子を調製した。平成24年度に確立した配位子交換法に従い、ナノ粒子へチミン誘導体を導入した。得られたナノ粒子へのチミン誘導体の導入は、紫外可視分光でのチミン部位由来の吸収とNMRによるチミン部位由来のプロトンのピークで確認し、全保護剤量の20%がチミン誘導体を合成に成功した。 2. 光照射による組織化制御:平均粒子径が1.5 nmのチミン誘導体導入金ナノ粒子に、本補助金で購入した光反応装置を用いて紫外光を照射し、UV及びTEMにより組織化の経時変化を評価した。UV照射6時間後にはチミン塩基由来の265 nmの吸収ピークは消失し、二量化由来のピークが220nmに観測された。光照射後の組織体金ナノ粒子の粒子間距離をTEM像から算出したところ、チミン誘導体が二量化した際の粒子間距離の3.6nmに一致する距離が多く認められた。昨年度報告した2.6nmのナノ粒子と比較し、長さが短い傾向が認められた。
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