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2012 年度 実施状況報告書

配位高分子錯体の結晶表面に着目した特異的分子吸着挙動の精密制御

研究課題

研究課題/領域番号 24750200
研究機関東京農工大学

研究代表者

近藤 篤  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60533619)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード吸着 / 表面 / 配位高分子 / MOF
研究概要

選択的ガス吸着特性を有する[Cu(bpy)2(BF4)2] (bpy = 4,4’-bipyridine) の結晶表面修飾を指向し、簡便に良質かつ多量のサンプルが得られる合成法を検討した。サンプルの評価はXRD測定およびCO2吸着測定により評価した。その結果、加熱合成温度とその加熱時間にはそれほど影響されなかったが、加熱後の冷却時間とその温度は結晶性のみならず結晶構造、吸着特性に大きな影響を与えることがわかった。冷却時間がある一定時間より長いと期待される吸着特性が発現し、結晶構造も理想的なものとなる。しかし、冷却時間が短い場合や冷却温度が283 K以下では理想的な結晶は得られなかった。また、最適合成条件で複数回合成されたサンプルの273 KにおけるCO2吸着等温線を測定し、[Cu(bpy)2(BF4)2]の特徴である吸着ゲート圧力、脱着ゲート圧力を評価したところ、それぞれ相対圧に対し標準偏差0.0004、0.00009と非常に高い再現性を示し、良質な結晶を得る様々な条件を明確化できたと考えている。
得られた結晶を用いて自己組織化単分子膜法を応用し、有機分子で結晶表面修飾を試みた。有機分子には骨格構造を形成しているbpyと部分的に類似構造をもつピリジン系とアミン系配位子併せて10種類以上で検討した。それらの中で、修飾処理を経ても複数の有機配位子を用いた場合で同様のXRDパターンを示すため、CO2吸着特性が発現すると期待できる。また、結晶構造情報を得るために大型放射光施設で利用可能なin situ粉末X線測定用ラインの作製準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究実施計画に挙げていた「ゲート吸着特性を示す配位高分子錯体の結晶合成と評価」では、特に結晶合成条件の詳細な検討を行った。目標としている材料を合成するための1つのルートである結晶表面のポスト修飾では、被修飾体である結晶が非常に重要であると考えられるため、良質な結晶の簡便な合成法検討は意義があると考えている。また、得られた結晶のCO2吸着特性評価を行い、物性面において非常に良い再現性を示していることも好ましい。配位高分子錯体結晶の表面修飾では、ピリジン系、アミン系合わせて10種以上の有機配位子を用いて表面修飾を試み、研究実施計画でも挙げているように結晶構造を保持する条件を複数の有機配位子を用いた場合で見出している。表面修飾による結晶構造への影響を評価するために大型放射光施設で利用可能なin situ粉末X線測定用ラインの準備を行っており、概ね予定通りであると考えている。

今後の研究の推進方策

表面修飾分子と吸着挙動との相関関係解明
合成された配位高分子錯体を用いて、CO2を中心に複数のガス吸着等温線を測定する。得られた吸着等温線データより細孔構造、細孔容量、吸着熱などを見積もる。また、ゲート吸着が起こる圧力の変化や、その圧力より低圧での表面吸着量を算出する。これらの見積もられたデータを基に表面修飾有機分子と吸着挙動の相関関係を評価する。ここで得られた知見は合成に再びフィードバックされ、より適切な有機分子修飾条件や有機分子の選択に利用する。また、CO2吸着特性制御につながる材料が見出された場合には、重点的に評価する。
修飾分子のキャラクタリゼーション
平成24年度の研究により、[Cu(bpy)2(BF4)2]結晶表面には有機分子が修飾していると考えられる材料合成に成功している。しかし、骨格構造を形成しているbpy分子と部分的に類似した有機分子を表面修飾分子として用いているため、どのような状態でどれほど存在しているのかは明らかとなっていない。また、表面に理想的に修飾していたとしてもその量はbpyに対して極微量であると考えられる。そこで、官能基を鋭敏に検知できるFT-IRや有機分子の評価に優れているNMRを用いて定性的・定量的評価を行う。また、平成24年度に購入した接触角測定装置を用いて表面エネルギーを評価するとともに、吸着物性の変化も間接的には表面修飾の有無を評価できるため、複数のガス吸着等温線測定の結果も併せて評価に利用する。
新規化合物の合成
[Cu(bpy)2(BF4)2]結晶のような特異な吸着現象を示す新規有機無機ハイブリット材料合成を目指し、金属イオン、有機配位子、対陰イオンを様々組み合わせることで合成し、ガス吸着測定を含む材料のキャラクタリゼーションを行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の予算額は概ね使用されたが、予算の1%程度が収支状況報告書にあるように次年度使用額として計上した。これは、効率的な研究費使用を行うためであり、平成25年度の研究費と合わせることで有効に使用する。
研究費は実験遂行に必要な試薬類や器具類購入に当てる。また、外部実験施設で利用可能なライン作製費や、実験実施に関する旅費などに用いる。必要に応じて、学内の共用機器使用料として用いる。さらに、研究成果を積極的に外部に発信する、また実験に有用な情報を収集するため学会参加・発表や論文投稿費に用いる。

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公開日: 2014-07-24  

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