研究概要 |
特異的吸着現象を発現する配位高分子錯体[Cu(bpy)2(BF4)2] (bpy = 4,4’-bipyridine)の結晶表面修飾を指向し、第二有機配位子を用いた修飾を行った。第二有機配位子には骨格構造を形成しているbpyと部分的に類似構造をもつピリジン系配位子であるピコリン(PI)、tert-ブチルピリジン(TBP)を主に検討した。これらの第二有機配位子で修飾した配位高分子は、修飾処理を経てもXRDパターンに大きな変化はなく、特有なCO2吸着特性も保持されていた。また、TGや有機元素分析においても未修飾の配位高分子と同様の結果を示し、第二有機配位子の存在を明確に確認できなかった。しかし、FT-IRやNMRにより、非常に微量であるが第二有機配位子の存在が明確に確認された。特筆すべき結果として、PIもしくはTBPで修飾した配位高分子は、未修飾の配位高分子が吸着しない2,2-ジメチルブタンを吸着したことがあげられる。さらに、大型放射光施設SPring-8でCO2やアルコール吸着状態でのXRDパターンを圧力、温度制御下で測定したが、その結果とこれまでの検討結果を合わせて考察すると、第二有機配位子で修飾しても、未修飾の配位高分子と同様な構造変化が起きていた。これらのことより、第二有機配位子はゲストの種類に依存してその効果が明確に異なることが明らかになった。
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