研究課題/領域番号 |
24750201
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
REBOUL Julien 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20604747)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 配位高分子 / 金属錯体 / 多孔体 / 有機無機ハイブリッド / 金ナノ結晶 / プラズモン |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)、硫化水素(H2S)、一酸化炭素(CO)などの生体ガス分子は、生体内において神経伝達分子として知られており、特に心臓機能や脳の記憶メカニズムにおいて重要な役割をはたしている。この中でもNO放出制御は材料化学分野において研究されている一方で、H2S及びCOの放出制御はその難しさから未開拓の分野である。本研究では、自己集合化の空間的制御を行うことで多孔性金属錯体と金属ナノ粒子のハイブリッド化を行い、光刺激によるプラズモン熱を用いることで生体活性分子放出を制御し、細胞機能制御可能なプラットフォームの構築を行うことを目的としている。 本年度は、金ナノ結晶表面をアルミナなどの酸化物でコートすることにより金属イオンを固定し、自己集合化の空間制御合成法を用いて金属ナノ結晶表面で多孔性金属錯体を局所的結晶化を行うことで、多孔性金属錯体をシェルに、金属ナノ結晶をコアにもつハイブリッド材料の創製を行った。さらに、蛍光プローブ分子を多孔性金属錯体の細孔中に閉じ込め、近赤外光を照射することで分子が放出することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、多孔性金属錯体をシェルに金ナノ結晶をコアに有するハイブリッド材料の創出を目的にしていたが、それを達成できたのみならず、次年度に予定していた蛍光プローブの細孔中への閉じ込めと近赤外光の照射による分子放出まで達成することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度までの研究により、金ナノロッドの光誘起プラズモン熱を用いた分子放出プラットフォームの構築に成功した。今年度は多孔性金属錯体部位の修飾により、H2Sなどのバイオガス分子や、グルタミン酸などの生理活性分子の吸蔵・放出を行うシステムの構築に着手する。さらに、生細胞を用いて、このシステムの細胞生物学への応用研究も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はハイブリッド材料の生理活性分子への最適化を行う予定である。ここでは、多孔性金属錯体の細孔修飾による最適化のためには、大量の金ナノロッドの合成が必要である。金ナノロッドの原料である金錯体は非常に高価であるため、この原料購入を試薬代として計上している。さらに、生細胞実験も計画しているが、この生理活性分子の取り込みを検証するためには、非常に高価な蛍光プローブの購入は必要不可欠である。 前年度までに達成された研究結果を国内外で発表するために、旅費としても使用する予定である。
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