研究課題
カーボン系薄膜材料を対象として、メソ・ナノ構造の導入が各種物性に及ぼす影響と新規機能開拓を目的とした研究をおこなった。初年度に得られた成果に基づき研究を進めた結果、カーボン系材料へのナノ構造形成が構造誘起親水化をもらすことが明らかになった。具体的な研究実験概要は以下のとおりである。ゾルーゲル反応を用いて作製した高分子を不活性雰囲気で熱処理することでカーボン系薄膜を得た。薄膜作製時の出発組成と熱処理雰囲気を精密に制御することにより、数十ナノメートル領域の規則ナノ構造を有するカーボン系薄膜を系統的に得る新規手法を確立した。これまでの多くの報告例においては平滑なシリコン基板を用いたカーボン膜形成が報告されてきており、濡れ性の低い基板上へのポリマー膜の製膜とメソ構造制御は困難であるとされてきた。本研究では、溶媒の蒸発速度を適切に調節することにより、ポリマー膜の分相ドメイン構造を速度論的に凍結し、制御されたメソ構造を得るに至った。結果として、薄膜は金属基盤を含めた各種基板上に作製することが可能であるのみならず、独立膜やフレーク状試料とすることも可能であった。上記フレーク状カーボンは水に対する高い分散性を有し、その表面における水の接触角は表面処理を施したカーボン系材料と同等値を示した。金属箔上に作製したカーボン材料は2次元電子系カーボン系材料の前駆体となるだけでなく、キャパシタとしての応用が期待される。既に水系キャパシタへの材料の応用に向けた予備検討を進めており、本研究で得られた成果の波及的研究成果の達成も見込まれる。
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