研究概要 |
ナノダイヤモンド(ND)を原料とするメソポーラスダイヤモンド球状粒子(MDSP)に関して、NDの粒子径と作製されるMDSPの細孔特性の関係を調べた。1次粒子径がそれぞれ、24, 35, 52 nmのNDを原料として、数マイクロメートルサイズのMDSPを作製することができた。窒素吸着測定の結果、これらのMDSPのBET比表面積は、それぞれ、201, 152, 85 m2/gであり、平均細孔径は4.6, 5.9, 9.3 nmであった。NDの粒子径が大きくなると、得られるMDSPの比表面積が小さくなったことから、MDSPの比表面積が原料となるNDのそれを反映していると考えられる。また、見積もられた平均細孔径は、ND1次粒子間の空隙の大きさに相当することから、MDSPは、NDの粒子間空隙が細孔として機能する多孔質材料であるといえる。一般に、細孔径分布は多孔質材料の特性に大きく関わるパラメータであるため、それを制御できることは、カラム充填剤のみならず、触媒をはじめとする様々な目的に利用できる汎用多孔質材料としてのMDSPの有用性を示すものである。 次に、製造法の異なる2種のNDに関して、作製したMDSPの非ダイヤモンド不純物成分の評価を行った。爆轟法により製造されたND(粒子径5 nm)と高温高圧法により製造されたND(粒子径50 nm)で比較した場合、X線光電子分光法(XPS)のC 1sスペクトルの波形解析から見積もられた炭素原子のsp2/sp3比は、それぞれ0.06および0.03となった。MDSPをカラム充填剤として利用した場合、グラファイト性不純物は、芳香環を有する化合物を吸着し、保持時間が極端に大きくなる原因となるため、この観点では、高温高圧法により作製したNDの利用が望ましいことがわかった。
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