研究概要 |
H25年度は,溶解析出法を用いてニオブ酸系ペロブスカイト(Na,K)NbO3結晶のサイズ制御を実施した.形態制御では,初年度で合成した(Na,K)NbO3について検討した.すでに,中間体であるNb6O19 8-のアルカリ塩析出過程において,析出時に用いる水酸化アルカリ水溶液中のNa/K比を変えることで,針状の (Na,K)7(H3O)Nb6O19・14H2O及び板状の(Na0.5K0.5)8Nb6O19・9H2Oが得られることがわかっている.この析出過程における析出温度を変えることでそのサイズを制御できることを見出した.これら形状を制御したアルカリ塩を焼成することでNa/K比と形状を保ったまま(Na,K)NbO3を得ることに成功した. 本研究課題により,溶解析出法により低温で針状及び板状の(Na,K)NbO3を合成できることを見出した.また,中間体の析出過程の温度を制御することで,そのサイズも容易に制御できることも見出した.湿式法で形状・組成を容易に制御できる合成技術は極めて少なく,本研究の結果は,ニオブ酸系ペロブスカイト材料の新しい低温合成法として非常に意義深いものであり,材料化学の分野のみならず,触媒・誘電体の分野に貢献できることは間違いない.本研究で開発した溶解析出法による針状NaNbO3の合成の論文が日本化学会CSJ Journal Report 2014に選ばれており,その重要性が認められている.
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