本研究は、酸化亜鉛の電解析出技術を使用してナノロッドアレイ形成用のテンプレートを形成し、更にそのテンプレートを利用してナノロッド形状を有する種々の酸化物半導体および金属を電解析出法で形成することを目的とする。酸化亜鉛は、六方晶ウルツ鉱構造をもつ酸化物半導体であり、結晶の表面エネルギーに大きな異方性を有することから、自発的にロッド形状に成長する特徴をもつ。成膜法としては、スパッタリングなどの気相成長法および水熱合成法などの溶液成長法など多岐にわたるが、本研究では、平衡状態に近い結晶成長の場を提供でき、かつ大面積化が容易な電解析出法を用いて実施した。 最終年度は、酸化亜鉛ナノロッドの形態制御とテンプレート形成に重点をおいて、研究を実施した。酸化亜鉛ナノロッドの形態制御では、前年度に開発した添加剤による成長密度制御法に加え、本年度はエピタキシャル成長法も新たに取り入れ、テンプレートひな形として利用可能な、適度な隙間と垂直性に優れたナノロッドを得ることに成功した。テンプレートの形成では、前年度のポリマー系充填剤に加えて、無機系の充填剤も新たに検討し、酸化亜鉛ナノロッドへの充填条件とテンプレート形状の相関を調べた。 研究期間を通して、酸化亜鉛ナノロッドの成長形態制御を実施し、テンプレート形成に適した形成条件を見出すとともに、ポリマー系と無機系充填剤の探索を実施し、充填条件とテンプレート形状に関する基礎的データを得ることができた。
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