結晶性高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と有機溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)からなる混合溶液は、高温から冷却することで物理ゲルを形成する。この種の物理ゲルは、リチウムイオンゲル電解質のバインダー等に積極的に用いられているが、ゲル化機構やゲル化条件に依存した力学物性の変化など、今後の物性向上に重要な基礎的知見がほとんど得られていなかった。本申請者は、光散乱実験と顕微鏡観察により、核生成型の相分離がPVDF/PCゲルの特異な球状ドメインを形成していることを明らかにし、さらに、ゲル化温度が高い程、PVDF/PCゲルの力学物性が向上することを明らかにした。
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