研究課題
前年度までに構築した全反射近赤外分光器を用いて,親水(シラノール)および疎水(アルキル)表界面の水の近赤外スペクトルを,種々の入射角度(45-65度)において取得した.入射角度を変化させることで,表界面からの距離の違いによる水構造の違いを明らかにできる.水の対称および逆対称OH伸縮振動の結合バンド(~6800/cm)の相対的吸収強度は,入射角度55度以上で,急激に上昇した.この現象は,シラノール・アルキル表界面の違いに寄らず,共通に観測された.この結果は,新・疎水表界面共に,100 nm程度の領域の水は,通常の水と比較して,密度が高いこと,すなわち,凝縮されていることを示唆する.さらに,6800/cmの吸収バンドの増加に伴い,6250/cmに,これまで報告例のない新たな吸収バンドが観測された.現在のところ,当該吸収バンドが,どのような構造を有する水であるのか,明確ではないが,バルク中とは全く異なる水素結合構造,あるいは,バルク中では,マイナーな構造を有した水が,100 nm以下の表界面に局在化していることを強く示唆する.
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Colloids Surfaces B: Biointerfaces
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巻: 113 ページ: 361-367
10.1016/j.colsurfb.2013.08.051