研究課題
(1)自己組織化により位置選択的にクロロフィル基が導入されたセルロース誘導体からナノロッド構造体を作製し、その構造解析を行った。面内GI-SAXS測定より、d = 7.44 Å、3.57 Åに明確なピークを持つことから、自己組織化により形成されたナノロッド体には分子規則配列があることが判明した。一方、面外GI-SAXSスペクトルにはd = 0.46 nmにピークがあり、AFM測定で得たナノロッド構造体の膜厚0.5 nmと極めて良い一致を示すことを明らかとした。(2)ナノロッド構造体の分光測定を詳細に解析し、クロロフィル基はhead-to-head配列であることが判明した。さらに、クロリン環相互作用がナノロッド構造形成に必要不可欠であることが明らかとなった。(3)styreneを高密度にグラフト化したバクテリアセルロース由来微結晶セルロースが芳香族系溶媒に良好に分散し、ネマチック液晶を形成することを見出した。
2: おおむね順調に進展している
天然セルロースナノ構造体の表面機能化による光機能材料の創出研究をH25年度に注力した。上述のように、高密度ポリマーブラシ付与グラフト天然由来セルロースナノファイバーが、静電相互作用が存在しない条件でも液晶を発現するといった、非常に興味深い結果を見出すことができた。現在、得られた成果を論文発表すべく、当初の予定を延長して研究を継続している。
天然セルロースナノ構造体の表面機能化による光機能材料の創出研究をまとめるために、付与するグラフト鎖長やグラフト密度と液晶構造の影響を検討するともに、光学材料への応用を展開する。
平成25年度にセルロースナノロッドの集積と光学特性に関する研究を行い、学会発表する予定であったが、その結果の再現性を確保するために慎重に実験を進めた結果、未使用額が生じた。セルロースナノロッドの光物性の解析の継続と学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)
Biomacromolecules
巻: 13 ページ: 3223-3230
10.1021/bm400858v
Langmuir
巻: 29 ページ: 7239-7248
10.1021/la304293z